象の病院〜キズナクリニック〜をつくろう

 

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絆プロジェクトスタート

 ボランティアを立ち上げて約1年半、私たちは「知名度を上げる」ことを目標に商品開発から販売、タイフェス参加などの活動をしてきました。象 のために何かを始めるにはまず多くの人に知ってもらうこと。それが大切だと思ったからです。

 実際に一年半前に比べると、少しずつではありますがボランティア会員も増え、応援メールを頂いたり、商品についての問い合せもあったり…さらに今年5月に開催されたタイフェスティバルでは予想をはるかに上回るお客様にボランティア商品を購入いただいたりと、活気づいてきたのは嬉しい限りです。

 そろそろ次の目標を立てようと今年に入ってからスタッフそれぞれが考え、一緒に話し合ってきました。
 いくつかの候補の中から私たちが最終的に出した結論は『メータマン村に象専門のクリニックを設立しよう!!』でした。

 

〜なぜ象の病院なの?〜

 現在、チェンマイのメーテン群には300頭以上の象がいて17箇所の象キャンプと言われる観光地があります。
昔は山奥で暮らしていた象たちも今はチェンマイ市内からわずか1〜2時間あまりで行ける象キャンプで暮らしています。それぞれの象キャンプには常駐する獣医師は居ず、何かあればチェンマイ大学やランパーンにある象保護センターの医師を呼んで対応してもらっています。

 また、妊娠した象は象の性格にもよりますが、精神面を考慮して初産は病院で産ませたいというオーナーも多くいます。その場合、片道3時間以上かけて妊娠象をトラックに乗せ、ランパーンの象病院まで運ばなければなりません。

 最近では新たな問題が象キャンプ周辺で起こっています。村の農作物に農薬がばらまかれ、それが雨とともに象がいる山の麓まで流されてきます。象が山で道草を食いながらむしっている草に農薬が付いていたり、象が鼻をのばす水たまりにも濃度の高い農薬が入っている場合もあるそうです。
それが象の体内にどんどん蓄積されて突然発作を起こしたり、おなかを壊すケースが頻繁に起こっています。すぐに獣医が処置してくれたら間に合うケースも、常駐する獣医がいないので間に合わず最悪命をおとす場合もあります。

 こういった問題を目の当たりにしてきたスタッフにとって、こんなに多く象がいる地域で象病院がないのはおかしいのではないか?と思ったわけです。
メータマン村にそんなクリニックがあれば、妊娠象の負担軽減にもなるし、迅速な施術も行えるのではないかと考えました。

 


穏やかな表情から、精神的に安定
しているのがうかがえる
臨月を迎えた象<ランパーン象病院>

治療時の負担軽減などにも
役立つ大きなクレーン
<ランパーン象病院>

切り傷を放っておいたために
化膿してしまい酷い状態に...。
痛みを紛らわそうとする象と
途方に暮れる象使い
<スリン象病院>

 


皮膚病が悪化して爪にまで異常が
担当スタッフにじゃれる孤児の象
<ランパーン象保護センター>

地雷で足を失っても
スタッフの愛で元気に育つモーシャ
<ランパーン象保護センター>

〜キズナクリニックの目的〜

皆さんは「象の幸せ」って何だと思いますか?

山奥で象使いと静かに暮らすこと?
象キャンプで鞍をつけてお客さんを乗せること?
一日何もしないでバナナを食べ続けること?
それとも人間と共存しないで野生の象として生きていくこと…?

残念ながら私たちスタッフにはその答えがわかる人はいません。

でも一つ言えることは、私たちボランティア団体は、人間のエゴで「象の幸せ」を望むのではなく、本当の幸せの追求をしているということです。

大切なのは、今おかれた状況の中で最高なものを作り上げることなのではないかと私たちは考えています。
タイの象たちはそれぞれオーナーのもとで暮らしています。人間が飼い始めた以上は責任をもって育てていかないといけないのではないかと思っている私たちは象のクリニックを設立する上で以下の3つのテーマを設けました。

 

象の健康管理だけではなくメンタル部分もケアできるクリニック

 「象と人間は家族」という考え方できたカレン族たちですが、時代は変わり象一頭を飼い続けるのも難しくなってきました。
 生活のために代々受け継がれてきた象を手放さなくてはいけなくなり、象も人間も辛い思いをしている現実があります。 また、象が年々高騰価格で売買できるようになってきたのを利用して象をタイ各地に売りさばくビジネスも増えています。

 象はとても繊細な動物で、生活の場所が変わったり、急な環境変化で精神的に不安定になるケースも少なくありません。
信頼できる大好きな象使いがいなくなったら深く悲しみ、新しい象使いとの関係を深められない象もいます。

 私たちはこういった現実を重く受け止め、改善していかなければと思う反面、どうにもこうにもいかない現実もあります。だから少なくともそういった象たちの安らげる場所をつくってあげたいのです。

 

象使いたちやオーナーの負担を軽減できるようなクリニック

 残念ながら「象使い」という職業はとても人気のないタイ人からは軽蔑されがちな職業です。学歴のない人の仕事、汚い、危ない、肉体労働、、、などのマイナスイメージがタイ人には強いようです。

 象使いたちには誇りと責任を持ってほしいのですが、彼らも都会の仕事に憧れるようで、例え皿洗いの仕事でも象使いの仕事を放りだし市内へ出ていく若者が問題となっています。
 私たちは象使いという職業に自信を持ってもらえるように彼らの魅力を発信したいと思っています。

 また、象のオーナーが自分の持ち象を守っていけるようなサポートが出来ればとも考えています。例えば、年に一回必要な皮膚病の予防接種をお金がないから3年に一回などのペースにしたりするのではなく、決まった分だけきちんと接種できるようにしてもらいたいのです。

 過度なサポートは彼らの自立心を損ない、受け身になってしまうのでそこのバランスを考えながらサポートしていきたい…ただ、私たちがクリニックをつくって満足ということではなく、現地の人と協力して彼らの意欲も湧くようなクリニックを作っていきたいと思っています。


毎朝の健康チェックは象使いの大切な仕事の一つ
<タイエレファントホーム>

 

訪れた人たちが象や象使いについて身近に感じられ考えられるようなクリニック

 象の病院といってもいまいちどのようなことをするのかわからない人も少なくないはずです。
キズナクリニックを設立したら、多くの象がそこを訪れるでしょう。
そこで具体的に

『こんな象が来て、このような治療をしました』
『この時期はこのようなワクチンが必要で、こんな病気の予防になります』

など皆さんに紹介できたら、もっと身近に象を感じられるのではと思っています。
身近に感じられれば、皆さんから「こんなことをしたらいいのでは?」とか「こんな協力ができるのでは?」など意見交換もでき、一緒により良いものを築いていけると思います。

 このようにキズナクリニックの存在が皆さんにとって象や象使いについて知ることができるきっかけになればいいと私たちは考えています。 獣医を目指す人やボランティアで訪れた人たちの学びの場にもなれたら素敵ですよね。

キズナクリニックを通して象たち、象使いたち、象に関わる全ての人たちの絆が深いものとなれば大・大・大満足です!

 

☆皆と一緒につくりたい キズナクリニック☆

 クリニックを設立し維持していくことは簡単でないことは百も承知しています。でもそれを続けていくこと…そこにこのボランティアの意味があると思っています。
もちろん、クリニックだけではなくできる限り色々な方面から象の存在の大切さを伝えられるボランティアを目指していくつもりです。

 素敵なクリニックをぜひそれを皆さんと一緒に作っていきたいと思います。
あくまでもこのプロジェクトは皆さん参加型のプロジェクトですので、実はまだ具体的に決まってないことも多々あるんです。

HP上でさまざまな意見を募集していきたいと思っておりますので、チェックしてくださいね!

 

◆スタッフからの一言◆

私に象と象使いの絆を最初に教えてくれたのはメータマン村の一人の象使いでした。
象に対する愛情、象が象使いを求める想いがここにはたくさんあります。彼らと生活を共にし、日本では決して知ることのなかった「人と象は家族だ」という絆に胸を打たれました。
 一方で、病院への搬送に時間がかかり、命をおとす象がたくさんいるというのも現状です。とても温かく深い絆がそういった理由で一方的に途切れてしまうことが、私には耐えづらいことでした。
 「人と象は家族だ」という『絆』を守るために全力を尽くして想いをカタチにしていきたいと思っています。

スタッフ D・M君


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