KIZUNAクリニックをつくろう

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〜スタッフ一同タイへ出発〜


 絆プロジェクト「象のためのクリニック設立」の具体化を図るべくスタッフ一同で現地へ行ってきました。タイへ行く前に私たちは毎日のように連絡を取り合い何度も打ち合わせを重ねました。

 「象舎ってどの位の予算でできるんだろう?」「象舎の大きさはどれくらいがベスト?」「オフィスの外観はカレン様式で行く?」「常駐する獣医さんはどうする?」「象たちを眺めながら団らんできるスペースをオフィスに作りたいよね」などなど・・・

 希望に胸ふくらませながら、まず私たちが思いつく限り決めなければいけないことのすべてを話し合いました。
 クリニック建設なんてもちろんやったことない私たち…タイ人スタッフと連絡をとっても皆も無知に近い状態で…それでもわかる範囲内で準備に準備を重ね3月中旬にそれぞれがタイへと向かいました。

 

〜資金調達の難しさ〜


 実際にボランティアで集められた総額はクリニック設立のために必要な予算の半分にもなりません。それでもこのプロジェクトを早くも始動したのには理由があります。

 まず、タイ人スタッフたちの反応が思った以上に良かったということです。「資金があれば今すぐにでも作りたかったよ。」とか「日本人からの協力が得られるのは嬉しいよ。」などクリニック設立について大賛成の声をもらえたからです。タイ人スタッフからの賛同があるのとないのとではプロジェクトの進み具合に差が出るのは明らかですから皆の熱が冷めないうちに建て始めようと考えました。

 2つ目に、ボランティアを応援し支えてくれている皆さんに早く寄付金や支援金が使われる場所を提示したかったからです。「商品の売り上げはすべて象さん幸せプロジェクトの支援金になります」を謳い続けて2年弱になるのに、そのプロジェクトの具体的な内容が発表されないのは応援してくれている皆様から不信感がうまれるのではないかと恐れがあったのも事実です。タイが好きで象が好きでボランティアを応援してくれる人たちに今できる限りの誠意を示したかったからです。

 そして何よりも象たちの幸せのためです。日本にいても度々タイ人スタッフから象の死を聞かされます。以前は「そんな悲しいニュースを私に知らせないで」と言っていた日本人スタッフも今ではきちんと耳を傾けその原因を追究するようになりました。急患の象をすぐに診ることができない現状が死を招く大きな原因の一つです。この現状を少しでも改善できるとしたら、それはやはり「象専門のクリニック」を作っていくことだと思います。

 今ある資金の中で出来る最大限のことをやっていこう!これが私たち日本人スタッフの考えです。

 

〜クリニック建設場所〜


 タイ人スタッフとの久しぶりの再会に感極まっている暇もなくすぐに話し合いが始まりました。私たちが日本で話し合ってきたクリニックの設計図を見せながらタイ人スタッフの意見を求めました。私たちも少ない滞在の中あれもこれも決めなきゃいけないことが山ほどあるという焦りからクリニック建設の主旨から外れていたことを言っていたのかもしれません。なかなか話がまとまらず途方に暮れていると、まずはクリニックの設立場所を決めてから具体化していこうということになりました。

 候補地は全部で三ヵ所。皆で一ヵ所ずつ見に行き検討した結果クリニック建設場所が決定しました。他の二ヵ所の候補地もそれは素敵で夢のような場所でしたが、水や電気の問題や何よりも敷地が広大過ぎて…身の丈を考えようか…ということで一番こじんまりとした、でも利便性は一番いい敷地に決まりました。


 チェンマイ近郊のメータマン村にある象キャンプ「エレファントホーム」の近隣の土地で、段差をうまく利用すれば将来上段にゲストハウスを建てられたら上から象たちを見ることができるし、何よりも象の治療に欠かせない水が十分にあるということが決定打になりました。

 

 

〜タイ人スタッフとの話し合い その1〜


 忙しい象使いのリーダーであるブーンさんを捕まえるのは毎度一苦労なのですが、朝食前にようやく落ち着いて話をする機会がありました。ブーンさんはクリニックロゴやオフィスの設計図にほとんど興味を示すことなく象の現状や今ある象病院の治療の限界などを話してくれました。

 そして最後に「クリニックの形にこだわるのではなく、象たちをちゃんと治療できる環境を整えてあげることが大事だよね。クリニックを作るからには象にとってベストのものを作らなければ意味がない。人間は何か目的を達成すると欲が出てきて目的から反れて自分の価値観を押し付けるようになるからね。」と優しい物腰でしたが鋭い指摘をされました。ブーンさんは私たちに説教しようと思ったのではないはずです。でもこの時ブーンさんの言葉がブレーキとなって猛スピードで突っ走って早く答えを出そうとしていた私たちの想いにストップをかけてくれました。

 私たちはもちろん象の幸せを一番にと考えてきたのですが、少し向かう先がずれていたのかもしれません。象を治療できるスペースがあればどうにかなると思っていましたが、それは違ったのです。治療できるスペースを確保してから先の話は二の次でどんな治療スペースを象たちに提供できるのかを試行錯誤することが最優先だったのです。これは完全に私たちの誤算でした。

 


朝食を作りながらも
質問に答えてくれるブーンさん

 

〜タイ人スタッフとの話し合い その2〜


 ランパーン象病院の視察も兼ね、プリチャー先生に会いに行ってきました。プリチャー先生自ら象病院内の多種多様な象舎を案内してくれ詳しく説明してくれました。何度もランパーンへ行っている日本人スタッフもクリニック目線で象病院を見渡してみると知らないことばかりで色々な発見がありました。

 プリチャー先生からクリニック建設予定地についておおまかに指摘を受けた内容は、

 ① 健康な象たちがいるところと隔離させること
           →健康な象たちに病気や菌をうつさないようにするため

 ② 排水処理を徹底すること
           →決して健康な象たちの方に排水が流れていかないようにする

 ③ 普通の象舎より強度を高くすること
           →治療するとき象は想像以上に暴れたりするため

 ④ 象舎の床は清潔にすること
           →菌が繁殖したりしないようにするため

 エレファントホームの隣に建設する予定なので特に①②は気を付けなくてはならない点です。排水の問題は解決できそうですが、エレファントホームのお客様がクリニックに見学に来た時に必ず殺菌処理などしてもらえるスペースも作らなければいけません。③④についても具体的対策を詳しく伝授してくれました。

 また近いうち建設予定地に足を運んでさらなる具体的アドバイスを頂けることになりました。








 

〜できることから確実に〜


 今回のタイ訪問でクリニック建設が私たちの予想をはるかに超えた奥深いものであったということはここまで読んでいただいた方には少しは伝わったかなと思います。タイ人スタッフも唸ってしまうほどのクリニック建設はどうやらプリチャー先生のアドバイスが大きく左右されてくることも間違いないようです。
 プリチャー先生は「クリニックのオフィス?そんなものはテントで十分だ!」くらいの考えだったのが私たちにとっては拍子抜けでもありましたが象のことを考えたら当然のこと。プリチャー先生とブーンさんの意見に耳を傾ければきっといいクリニックが作れるのではと確信しました。
 現在、建設予定地である場所の土地均しが始まっています。その後象舎建設が始まります。象舎建設はおそらくプリチャー先生がクリニックの建設場所に来た後になります。プリチャー先生は日本にくる予定があったり相変わらず忙しくされているので訪問日が未定とのことですが、またわかり次第皆様にはお知らせします。

 あくまでも今の予定ですが、象舎建設の予算次第で次に象を運ぶためのトラックを購入予定です。その後にオフィスを作っていこうと考えています。まだまだ完成までは程遠いですが妥協せず一つ一つ満足のいくものを作っていこうと思っています。



 
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